家事をラクにする「やらないことリスト」の作り方

 

「朝起きてから寝るまで、ずっと動き回っている気がする」 「SNSで見るキラキラした丁寧な暮らしと、現実の自分の生活を比べて落ち込んでしまう」 「時短テクニックを試してみたけれど、結局忙しさは変わらない」

もしあなたがそんな風に感じているなら、それはあなたの要領が悪いからではありません。ましてや、努力が足りないわけでもありません。

単純に、**「やろうとしていることが多すぎる」**のです。

現代の生活は情報に溢れ、「あれもやったほうがいい」「これもやるべき」という“理想の家事水準”がどんどん上がっています。そのすべてを真面目にこなそうとすれば、時間が足りなくなるのは当たり前です。

家事をラクにするために本当に必要なのは、最新の時短家電でも、素晴らしい収納グッズでもありません。「何をやらないか」を決める勇気です。

この記事では、あなたの時間を奪っている不要なタスクを手放し、本当に大切なことに集中するための**「やらないことリスト(Not To Do List)」の作り方**を徹底解説します。これを読めば、罪悪感なく家事を減らすことができるようになります。

やらないことを決める必要性

多くの人は、忙しい毎日を何とかしようとして「足し算」の解決策を探しがちです。 「もっと効率的な手順はないか」「もっと早くできる便利グッズはないか」。

しかし、1日は24時間しかありません。すでにパンパンに詰まっているスケジュールの中に、新しいテクニックを詰め込んでも、忙しさは加速するだけです。 今必要なのは、「引き算」の思考です。

時間を空けるための“引き算の家事”

なぜ「時短」よりも「やめること」が重要なのでしょうか。

例えば、床掃除をロボット掃除機に任せたとします。これで20分の時間が浮きました。しかし、「浮いた20分で窓拭きができる!」と考えてしまっては、結局あなたの休息時間はゼロのままです。これでは家事がラクになったとは言えません。

「やらないことリスト」を作る目的は、単に作業を減らすことではありません。 「自分と家族が笑顔で過ごすための余白(時間と心の余裕)」を強制的に作り出すことです。

  • 毎日掃除機をかけなくても、死にはしない。
  • 毎日手料理を一から作らなくても、子供は育つ。
  • 洗濯物をきっちり畳まなくても、また着るなら問題ない。

この「引き算の視点」を持つことで初めて、あなたの時間はあなたのものになります。「家事のための人生」から、「あなたの人生を支えるための家事」へと、主従関係を取り戻すのです。

全部やろうとすると続かない

完璧主義な人ほど、「ちゃんとやらなきゃ」という呪縛にかかりやすい傾向があります。 しかし、家事には「終わり」がありません。 料理、洗濯、掃除、名もなき家事……。追求しようと思えばどこまでもクオリティを上げられますし、サボろうと思えばいくらでもサボれます。

この「終わりのないマラソン」を全力疾走し続けようとすれば、いつか必ず息切れします。 「今日は疲れたからできない」→「できなかった自分はダメだ」という自己嫌悪のループに陥ってしまうのです。

「全部やろうとするから続かない」のではなく、「全部やらないと決めるから続く」のです。 60点で合格。時には40点でもOK。そうやってハードルを極限まで下げるためのツールが「やらないことリスト」です。 これは手抜きではなく、**「長く走り続けるための戦略的撤退」**なのです。

やらないリストの作り方ステップ

では、具体的にどのようにして「やらないこと」を見つけ出し、リスト化していけばよいのでしょうか。 頭の中だけで考えるのではなく、実際に手を動かして可視化する3つのステップをご紹介します。

① 家事をすべて書き出す

まずは現状把握です。紙とペン(またはスマホのメモ帳)を用意して、現在あなたがやっている家事、および「やらなきゃいけないと思っている家事」をすべて書き出してください。

ポイントは、できるだけ細かく分解することです。 「料理」「洗濯」といった大雑把な言葉ではなく、以下のように分解します。

  • 料理: 献立を考える、買い出しに行く、食材を洗う、切る、炒める、盛り付ける、食器を下げる、洗う、拭く、食器棚に戻す、生ゴミを処理する。
  • 洗濯: 色分けする、ネットに入れる、洗剤を入れる、干す、取り込む、畳む、各部屋に運ぶ、タンスにしまう。
  • 掃除: 掃除機をかける、床の水拭き、トイレ掃除、お風呂掃除、排水口の掃除、玄関の掃き掃除。
  • 名もなき家事: シャンプーの詰め替え、麦茶を作る、ゴミ箱の袋交換、段ボールをまとめる。

こうして書き出すと、自分がどれほど膨大なタスクを抱えているか(=こんなに頑張っているか)が可視化され、驚くはずです。まずはこの事実を認識することがスタートです。

② “即やらなくて困らない”ものを抜く

次に、書き出したリストを冷徹な目で見直し、**「仕分け」**を行います。 以下の3つの基準で、容赦なく「やらない候補」にマークをつけていきましょう。

基準A:頻度を減らせないか?(毎日→週1へ)

  • 例: 「毎日バスタオルを洗う」→「一度使っただけでは汚くないと割り切り、2回使う」「そもそもバスタオルをやめて、すぐ乾くフェイスタオルにする」
  • 例: 「毎日掃除機をかける」→「平日はクイックルワイパーやロボット掃除機のみ。掃除機は週末だけ」

基準B:工程を省略できないか?(丁寧→ざっくりへ)

  • 例: 「洗濯物をきれいに畳む」→「下着やパジャマは投げ込み収納にする」「トップスはハンガーのまま収納する(畳む工程をゼロにする)」
  • 例: 「食器を拭く」→「自然乾燥または食洗機の乾燥機能に任せて、拭く作業をやめる」

基準C:他者・機械に任せられないか?(自分→他人・機械へ)

  • 例: 「食器洗い」→「食洗機を導入する」
  • 例: 「夕食作り」→「週に2回はミールキットやお惣菜、冷凍食品を活用する」「休日はパートナーに任せるか外食にする」

ここで重要なのは、**「『丁寧な暮らし』というフィルターを外すこと」**です。 「手作りが愛情」「ピカピカの床が正義」といった固定観念を一回脇に置き、「それをやらなかったとして、明日家族が困るか? 健康を害するか?」と問いかけてみてください。 意外と、「やらなくても誰も気づかない」「困らない」ことがたくさんあるはずです。

③ 本当に必要な家事だけ残す

選別が終わったら、残ったものが今のあなたにとっての**「コア(核)となる家事」**です。 これこそが、「あなたと家族が快適に暮らすための最低ライン」です。

そして、選別で弾かれたものを正式に**「やらないことリスト」**として清書します。

【私のやらないことリスト(例)】

  • 洗濯物は畳まない(ハンガー&放り込み収納)。
  • 平日の朝食は火を使わない(パン、ヨーグルト、バナナで固定)。
  • マット類(トイレマット、玄関マット、キッチンマット)は敷かない(洗う手間をゼロにする)。
  • アイロンがけが必要な服は買わない。
  • 毎日スーパーに行かない(週1まとめ買い or ネットスーパー)。
  • お弁当のおかずは冷食を解禁する。
  • 麦茶は煮出さない(水出しオンリー)。

このリストを、目に見える場所(冷蔵庫や手帳など)に貼っておきましょう。 そして、ふと「あ、やらなきゃ」と思ってしまった時に、このリストを見て**「いや、私はこれを『やらない』と決めたんだ」**と思い出すのです。

決めることで、迷いが消えます。「サボってしまった」という罪悪感ではなく、「やらないと決めたことを実行している」という自信に変わります。

やらないリストを維持するコツ

一度作ったリストも、時間が経てば状況が変わります。また、時には「やっぱりやったほうがいいのかな」と迷いが生じることもあります。 リストを運用し続けるためのコツをお伝えします。

時期や季節で定期的に見直す

「やらないことリスト」は不変の法律ではありません。あなたのライフステージや季節に合わせて、柔軟に更新していくものです。

  • 季節の変化: 夏場は毎日着替えたいから洗濯頻度を上げるけれど、冬場は下げる。 冬はお風呂掃除を念入りにするけれど、夏はシャワーだけだから簡単に済ませる。
  • 子供の成長: 子供が赤ちゃんの間は衛生面に気を使って床拭きをしていたけれど、ある程度大きくなったら頻度を下げる。 逆に、子供が部活を始めたら洗濯の泥汚れ対策は「やるリスト」に復活させる。
  • 仕事の状況: 繁忙期は「料理」を徹底的に「やらないリスト」に入れ(完全外注や冷食)、閑散期にはまた料理を楽しむ。

「今の自分にとっての最適解は何か?」 これを3ヶ月に1回、あるいは半年に1回くらいのペースで見直しましょう。 「前はやらないと決めたけど、今は余裕があるから再開しよう」というのもOKですし、「さらに忙しくなったから、これもやめよう」とリストを追加するのも正解です。

まとめ:やめた数だけ、優しくなれる

「やらないことリスト」を作ることは、決して手抜きでも堕落でもありません。 それは、限られた時間とエネルギーを「本当に大切なもの」に注ぐための、賢い選択です。

洗濯物を畳む時間をやめて、子供と絵本を読む時間に充てる。 凝った料理を作る時間をやめて、家族と笑顔で食卓を囲む時間に充てる。 毎日掃除機をかけるのをやめて、自分の好きな本を読む時間に充てる。

家事のクオリティが多少下がっても、家の中が多少散らかっていても、お母さんやお父さんが笑顔でいること以上に、家庭にとって価値のあることはありません。

さあ、今日はペンを持って、まずは一つ、「これをやめる!」と決めてみませんか? その一つを手放した瞬間、あなたの心にふっと温かい余裕が生まれるはずです。

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